微分積分席替え気分@東大

河合塾本郷校での浪人を経て東大に合格した文一生による、のんびりとした日常のブログ。

『失敗の本質』を読む前に

以前から読んでみたいと思っていた本の一つに『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』があります。つい先日読了したので、もう少ししたら読書感想を上げたいと思います。

 

特に最近は、新型コロナウイルスの感染拡大に対する政府の対応について、第二次世界大戦中の様子と絡めながら風刺・批判する意見をTwitterなどでしばしば見かけていました。

 

また、最近はそうした一連の対応に追われる姿がよく見られる東京都知事小池百合子氏も、この『失敗の本質』を座右の書としているとのことだったので、この機会に読むのがちょうどよいのではないかと考えました。

 

しかし、この本を以前に読もうとしたという一橋大学の友人曰く、日本史の素養がある程度ないと理解するのが少し難しいかもしれないとのこと。彼は受験で世界史と地理を選択しており、日本史についてはあまり知識がなかったために苦戦したということでした。

 

僕自身も日本史選択ではないため、近現代史に関して持っている知識はせいぜい中学時代のものです。これではもしかすると最大限楽しむことができないのでは、と思いました。

 

そこで、今回は僕が『失敗の本質』を読む前にした準備というか予習のようなものを紹介したいと思います。また、今回僕は手にとっていませんが、『超入門失敗の本質』という書籍が出版されており、原著に挫折した人などから人気のようなので、機会があればそちらにも目を通したいところです。

 

・日本史(近現代)の知識保管

まずは高校日本史レベルの知識を入れておこうということで、以前記事で紹介したように、N予備校の受講をはじめました。今はコロナ流行の影響もあって、全講義が無料公開されているので、もちろん日本史も無料で視聴することができました。

 

N予備日本史を担当するのは松本恵介先生で、代ゼミなどでの講師経験があるようです。関西弁が強めで、軽快なトークと時に熱い語り口で引き込んでくる授業でした。

 

僕が受講したのはペリー来航から第二次世界大戦終戦までです。ペリー来航あたりからが近現代と言われるようだったので、そこからはじめました。

 

明治期の日本の躍進が、その後の太平洋戦争における失敗にもつながっていると考えると、明治からの流れを確認しておけたのは良かったです。また、試験があるわけでもないので、細かい人物名などを一生懸命覚える必要はないというのも、ストレスが少なくていいですね。

 

現代史のところでは、戦争につながる法整備や体制整備が進んでいく過程や、戦時中に指揮を執る内閣総理大臣の流れを知ることができました。

 

日本史を受講する欠点としては、やはり時間がかかることです。近現代に絞って受講したと言っても、一回90分の授業が10回分以上あったので、倍速視聴でも結構な時間を要します。わかりやすく楽しい授業なので苦痛ではありませんが、入門的なことは早く終わらせて本に進みたいという人には微妙でしょう。

 

NHKスペシャルなどのドキュメンタリー視聴

本を読む上で直接役立ったのがこちらです。NHKアーカイブにて、「ドキュメント太平洋戦争」という番組が公式に公開されています。

『失敗の本質』は太平洋戦争(大東亜戦争)中の6つの戦闘について取り上げた後、それらの共通点から教訓を得ようという構成になります。

この6つの戦闘に対応する回を視聴することによって、読んでいるときにも視覚的なイメージを付けながら理解していくことができるので、多少難しい内容でもかなり読み進めやすくなります。

 

なお、インパール作戦沖縄戦については上述のシリーズで取り上げられていないので、僕は別のNHK特集を視聴して補完しました。なぜNHKにこだわったかというと、やはり民法に比べて資金が潤沢なために十分な調査に基づいた情報を手に入れられ、かつ政治思想的な偏りが少ないのではないかと考えているからです。

 

実際、本を読み勧めていく中で、両方で言及されているものも多く、良い助けになりました(NHKの編集者がこの本も参考にしている可能性、同じ参考文献や情報ソースを使っているだけということもあるかもしれない)。

 

また、当然ながら両者に独自の見解や新しい主張、別の角度からの切込みが存在するため、より深く広く学ぶことができたと感じています。とりあえず早く読んでみたいという方は、ぜひ一度そうした特集系の番組を見てみると良いと思います。

 

 

といった感じで準備を進めてきました。僕が最近難しそうなことを勉強する際に心がけているのは、入門的なステップを大切にするということです。基礎的な内容への理解がないうちにいきなり難しい本を読んでもなかなか頭に入らず、文字を追っているだけになりがちです。

 

それでは時間ももったいないので、世間的に定番と言われているような入門書をまずさっと読み通したり、今回のように高校レベルの知識に立ち返って見ることにしています。実際そのほうが学習への抵抗感も薄れ、楽しく勝つ効率的に進んで行けているように感じます。

 

こうした学習法を、僕はこれから法学方面で特に生かしていこうと思っています。まだ法律への理解は乏しいので、授業が始まり難しい教科書を主軸とした学習が進む前に、入門書でかんたんなイメージを付けておきたいですね。

 

 

 

 

 

 

 

それでは~