微分積分席替え気分@東大

河合塾本郷校での浪人を経て東大に合格した文一生による、のんびりとした日常のブログ。

続・我はどこへ行くのか

 以前書いた、「今月末から始まる」一大イベント、進学選択(通称進振り)がいよいよ今日から始まりました。正確には、進学先の第一志望登録期間が始まったことになります。

utsuperlife.hatenablog.com

東大生を多くフォローしている僕の Twitter本垢では、相当数の東大生が進学先についてつぶやいていました。東大の前期教養学部生がいかにこの進振りにとらわれているか、ということをまざまざと見せつけられた気がします。

 

前の記事に書いたとおり、僕はいまいちはっきりとした理由を自分の中で確定できないまま、それでも法学部へと流れるように進学するだろうということを書きました。まだ登録はしていませんが、そのとおり登録するつもりです。

 

さて、以下では前回の記事でできなかった「何故自分は法学部に行きたいのか?」という内省について、せっかくなのでこの記事を使ってやってみたいと思います。

 

思い返せば、僕は小学生の頃に「政治家になりたい」と抜かしていたことがありました。いつぞやにやった職業調べの時に政治家を選択して、政治家になるにはどんなルートが有るかということで、地方議員から国会議員になる、議員秘書をする、法曹や公務員を経験した上で選挙に出る、などなどのルートが一般的であるということを知った記憶があります。以前確認してみた所、卒業文集にも、自分が政治家を志しているということを匂わせる文面を発見しました。恐らく、法律や政治というものに対して漠然とした興味を持ち出したのはこの頃だったと思います。

 

小学校の頃の自分を想起するのはなんとも恥ずかしいことですが、当時の自分は非常におしゃべりで(今も)、かつ理屈っぽいことを言って周囲の人を説き伏せるようなことが好きでした。その一環として、小学生にとって圧倒的な権力で、従わざるを得ないような存在としての法律や政治に興味を持ったのではないかなと今思います。また、並行して国会中継にも少し興味を持つようになりました。当時にその議論の内容がわかっていたとは到底思えませんが、堂々と相手に対して意見を述べていくその姿を魅力的だと思っていた節はあるかもしれません。

 

しかし、卒業文集にも書くくらいには政治家に対して憧れを持っていながら、同時に自分には政治家は無理だろうとも思っていました。自分には政治理念や「日本をこのように変えたい」という熱意がそもそもないなと気づいたからです。要するに、結局は単に目立ちたいというくらいのものだったわけですね。というわけで、法や政治分野への興味は萌芽しつつ、流石に政治家は無理かーと思った小学校時代でした。

 

中学時代には社会科が始まって、いよいよ少しづつ憲法や国会の機能といった法学・政治学(というには初歩的すぎるかもしれないが)の基礎を学ぶことになりました。この時、歴史や地理の分野を学んでいる時以上に、理由のない興奮を感じていたことを覚えています。小学校からの興味を引きずっていただけなのか、なにか新しい要因があったのかは自分にもわかりません。

 

ただし、中学では小学校以上に権力や政治構造について、小さな規模ではありながら実感する機会があったのは事実です。それは生徒会活動でした。僕は中学時代、1年生で副会長、2年生で会長にそれぞれ立候補し、いずれも当選するという経験をしました。この当選とその後の生徒会関連の諸活動を通して、生徒会の規則や、生徒会という組織に全校生徒が属した上で、各委員会の役員や生徒会役員が集った中央委員会によって意思決定がなされ、生徒総会で発表されるというような構造としての生徒会政治を経験することになりました。これは、自分にとって単に当選の承認欲求を満たすにとどまらず、権力行使やそのために仕組みというものを実際に体験し、脅威を惹かれていくということになったと思います。

 

高校では特にそのような経験はしませんでしたが、この頃にはもう「大学に行くなら法学部」という確固たる思いが自分の中にありました。大学名よりも学部のほうが大切で、例えば横浜国立大学は法学部がないからそもそも志望候補に入らない、というような思考をしていました。この頃の自分のキャリアイメージ(と言えるほど整ったものではない)は、地方公務員あたりになって忙しすぎない生活を送りつつ、行政というものに関わって地方政治の一端を担ってみたいというくらいのものでした。

 

公務員になるのにどんな勉強がいるかと言われた時に、やはり行政の担い手なら法律や政治には詳しくないといけないだろう、という思いが働き、また実際公務員試験でもその分野がある程度重点的に問われることがわかっていたので、法学部を志向したというのもあると思います。しかし、別に公務員試験を受けるのに学部の素養などそこまで必要なく、試験対策さえきちんとすれば何学部かは関係ないということも理解していたので、結局は法学に対する漠然としたあこがれがここまで続いていたとも言えます。

 

それでもって浪人を経て今に至るわけですが、今でも就職先で第一にイメージするのは公務員です。変わったとしても、中高では地方だったのが今では国家を考えるようになったという程度です。この変更も、そもそも中高の時点では自分がこんなに勉強に精を出すとも思っていなかったので、まさか国家公務員になんてなれないだろうから、という非常に消極的なものでした。同じ理由で、高校受験のときもはじめは県内トップ校を目指していませんでしたし、大学受験のときも東大など3年でセンター試験を受けるまで(自分には無理だという意味で)ほぼ眼中にありませんでした。

 

こうしてみると、結局自分は特別「法曹になりたい」などというように法律のプロとして働きたかったから法学部に行くのではなく、なんとなくのかっこよさやあこがれでここまで来たと言ってもいいと思います。確かに公務員へのあこがれと法学政治学が結びついているのは間違いありませんが、それもそこまで強い関係はないと自分自身で気づいている以上、学部を決定する上での重要な因子とは言い難いでしょう。また、中学の後半から数学に対する苦手意識が増大し、理系へ進むという選択肢を自分の中で消しつつあったことも、法学部に行く後押しになったかもしれませんが、文系の中で法学を選択するところまでは説明できません。

 

大学での勉強も、1年の頃を振り返って、主題科目などの特殊なものを除いた時に面白かった授業ないしテスト勉強が何かと言われると、やはり法Ⅰ法Ⅱという科目が浮かびます。

 

ここまで来ると、もはや好きだと思うことを選択して実行しているのか、実行していることを好きだと思いこんでいるのかわからなくなってきますね。笑

 

結局はっきりとした自分の思いは見えませんでしたが、良い振り返りの1つにはなったと思っています。現在自分が取り組んでいる文字通りの法学、すなわち法学部の開口する専門科目が果たして楽しいかというと、答えは非常に微妙なものになってしまうのが最近の悩みの1つですが、これは単純に難しく理解が追いつかないからであって、法律や政治そのものへの興味は消えていない、と半ば思い込むことにしています。笑

 

このあたりの難しさは、それこそ夏休みあたりの時間が取れる時にじっくり取り組んでみたという思いがある一方、最近の自分の姿を見るに、時間があっても真面目に何かへ取り組むとも思えないのがまた悩みですが。

 

法学部の勉強をどうやって勧めていくか、果たして法学部の授業に自分はついていけるのか、という不安が出てきたときには、『佐々木望の東大Days』というブログを参考にしています。この方はかなりビッグな声優でありながら、働きつつ東大に入学し、休学などを経て東大法学部を卒業された方です。しかも卒業時に表彰されているということなので、その学力も本物です(東大法学部では、指定分野の科目の成績で一定割合以上「優or優上=S,Aのようなもの」を取得することで、その分野に関して「優秀」か「最優秀」と表彰される制度があり、2分野に渡って「最優秀」になると、「卓越」というめっちゃかっこいい称号を得られます)。

 

この特設ブログでは、インタビュー形式でご自分の学生生活を振り返りつつ、法学部での勉強の体験も綴っていて、その姿勢がとても参考になるので、是非興味のある方は一度読んでみてください。

https://todaidays-nozomusasaki.com/

 

というわけで長々と前回の続編をやってきました。本当はもっと進振り全般に関する話をしたかったのですが、文一→法学部というルートを取る僕は進振りの土俵の外にいる存在という感じが否めず、そんな僕がなにか語るというのはあまりに偉そうだと思ったのでやめておきました。前回の記事での予告とは若干異なりますが、これでいいということにしておきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは~