微分積分席替え気分@東大

河合塾本郷校での浪人を経て東大に合格した文一生による、のんびりとした日常のブログ。

「社会生活上の経験が乏しい」

昨日の続き。と言いつつ一昨日のことになってしまいましたが。

 

前回条文を引用して終わったのが消費者契約法第4条3項4号でした。実際に僕が気になったというか面白いと思ったのは、3号と4号に共通して書かれている文言です。しつこいようですが条文を引用しておくと、

三 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、次に掲げる事項に対する願望の実現に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、裏付けとなる合理的な根拠がある場合その他の正当な理由がある場合でないのに、物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものが当該願望を実現するために必要である旨を告げること。
イ 進学、就職、結婚、生計その他の社会生活上の重要な事項
ロ 容姿、体型その他の身体の特徴又は状況に関する重要な事項
四 当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから、当該消費者契約の締結について勧誘を行う者に対して恋愛感情その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該消費者に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該消費者契約を締結しなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること。

となります。この中で共通している文言が「当該消費者が、社会生活上の経験が乏しいことから」というもの。3号では、これに乗じた社会生活上の重要事項や身体的特徴に関する不安を煽り契約目的物の必要性を迫るもの、4号では、勧誘者への恋愛感情などを利用して関係性の維持のために契約の必要性を迫るもの、をそれぞれ契約取り消しの対象としています。

 

デート商法などに引っかかる原因を「社会生活上の経験が乏しい」と表現するのはなんだか滑稽なような悲しいようなという感じがします。要するに「恋愛経験に乏しい」故に勧誘者の罠に引っかかって好意を抱かされたという話ですからね。ある意味「モテない」を法律用語で言ってみたみたいなものでしょうか。

 

ちなみにさらに興味深いのは、この文言についての消費者庁の見解です。それによると、

1.社会生活上の経験とは、社会生活上の出来事を、実際に見たり、聞いたり、行ったりすることで積み重ねられる経験全般をいいます。
2.また、社会生活上の経験が乏しいとは、社会生活上の経験の積み重ねが消費者契約を締結するか否かの判断を適切に行うために必要な程度に至っていないことを意味します。
3.社会生活上の経験が乏しいか否かは、年齢によって定まるものではなく、中高年のように消費者が若年者でない場合であっても、社会生活上の経験の積み重ねにおいてこれと同様に評価すべき者は、本要件に該当し得るものです。

とのこと。これは「「社会生活上の経験が乏しいこと」という文言は何を指すのですか。中高年の被害者も救済されますか。」という質問への解答として用意されていました。果たしてどこまで「経験の積み重ね」をしたら「判断を適切に行うために必要な限度に至」ることができるんでしょうかね……。笑

 

年齢は関係ないという3.の解答もどこか悲しい感じがします。年をとっても社会生活上の経験を積めていない人がいることが前提となっているわけですからね。

 

また、これだと社会生活上の経験を十分積んでいれば騙されないというようにも取れますが、果たしてそういうものなんですかね。そういうことなら、騙されないために僕もいろいろな経験をする必要があるかもしれません。

 

ということで気になった条文についてでした。法律に関して僕はまだ素人もいいところなので、なにか誤りがあったら教えて下さい。もしくはそっとしておいて下さい。笑

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは~