微分積分席替え気分@東大

河合塾本郷校での浪人を経て東大に合格した文一生による、のんびりとした日常のブログ。

我はどこへ行くのか

今月末から、東大2年生にとっての一大イベントがいよいよ始まります。その名も「進学選択」(旧称:進学振分け、通称:進振り)です。

 

東大教養学部前期課程が旧制第一高等学校を前身とすることの名残であるこの制度。日本中のほとんどの大学では、大学進学後に進学する学部を選択するという制度を現在取っていません。僕の知る限りでは、東大以外だと北海道大学名古屋大学くらいでしょうかね。それも、全員が「教養学部」に便宜上属するとか、2年の秋学期まで待ってからようやく進学先が決まるというのは、やはり特徴的なことではないでしょうか。

 

先日東大の教養学部が出している「教養学部報」を見ていた所これについての記述があって、それによると、東大は「教養学部」という学部・大学院をともに有する独立した研究機関として存在していたことが、この制度を存続させた要因の一つだろうということでした。確かに今でも教養学部後期課程がちゃんと存在していて、しかも学生からの人気は学内でもトップレベルに高いと言っていいのは重要な要素かもしれませんね。

 

東大はこの伝統的な進学選択制を今日まで維持していることで、現在のような緊急事態にあっても、学事歴を遅らせるという対処はなんとしても避けようとします。その結果が、おそらく全国で最も素早かったオンライン講義体制の整備と学事歴の大幅変更なしという決定でした。

 

と長々と前置きしましたが、その進学選択がついに我々の目前に迫っています。多くの2年生はこれに一定以上縛られた履修をしたり、点数を稼げなかったことに嘆いたりしているわけです。

 

僕は高校生の頃から、何なら中学生くらいの頃からずっと「法律を学びたい、法学部に行きたい」という思いを抱いていました。これはなぜかと説明するのが非常に難しく、自分でも結構不思議なところです。あえて後付け的に理由を説明するなら、中学時点で数学が苦手だったため文系に絞りつつあったこと、小学校の頃に将来の夢で「政治家」と書いて以降、その自分の宣言に縛られるように政治や法の分野に興味をもった(と少なくとも思いこんでいた)こと、どことなく法律に明確さや絶対的正義のような印象を抱いていて、かっこいいと思っていたこと等があるかなという感じです。

 

理由はともあれ法学部に行こうというのは早くから思っていたので、東大でもほぼ確実に法学部へ進学できる文科一類を選んだのは自然なことでした。ちなみに元々は東大に進学する予定も意思もなく、本当に直前でそういう話になったのですが、これはまた別の機会に書こうと思います。

 

東大入学後も文一から法学部に進学することを疑うことはまったくなく、文一の実質的必修といっていい「法/政治Ⅰ・Ⅱ」を真面目に受講し、普通に楽しんでいました。2年生になっていよいよ本格的に始まった法学部の持ち出し科目である憲民刑それぞれの授業も、難しさと予習の大変さにヒーヒー言いながらもなんとか受講しています。憲法民法は正直あまり分かってないなと自分でも思いますが、刑法は楽しいです。丁寧に思考を辿れていて、自分が何を考えていて何につまずいているのかが比較的わかりやすいので。

 

しかし、では最近何の学習に時間を割けているかといえば、それは法学部の授業よりも川人ゼミの内容に寄りつつあります。川人ゼミでは教育パートに属しているのもあって、特に教育問題に関して興味が湧いてきています。軽い気持ちで履修を始めた教職科目も、内容的にゼミと関連するものが多く、思いの外興味深いです。

 

となると自分は本当に法学部に進学するのか?という思いが芽生え始めました。果たして自分は法学を学んで何がしたいのか、という根本的な問題もここへ来て頭をもたげています。そもそも自分は何がしたいかということを問われるのがかなり苦手で、将来の夢なんて「地方公務員あたりに落ち着いてワーク・ライフ・バランスを確保しつつ、適度に暮らす」という非常に失礼なことしか考えていなかったくらいですから。

 

しかし、教育学部に進学して今たまたま楽しく学んでいる教育分野に注力したところで、結局何をしたいのかという解いには答えられません。どの社会問題を学んでいてもそうですが、問題があちこちに散在し、その一つ一つが大きいことを認識するたびに、果たして社会のためと言っても何ができるんだいという思いが強くなります。教育問題も、最近は『教育格差』というちくま新書を読んで強く影響されたところですが、これを解決しようと簡単にいうことは到底できません。そもそもどこまでの格差ならいいのかという根源的問題すら難しいところですから。

 

そんなわけで、ここへ来て自分の人生史上ある意味初めてかもしれない「法分野への憧れに対する懐疑」が起こりました。しかし、ここまで書いておいてなんですが、やはり僕は法学部に進学したいのです。法学、かっこよくないですか?これは「東大法学部」がかっこいいとか(かつての)権威の象徴だとかいう意味ではありません。どことなく法そのものに魅力を感じているのです。先日勉強や授業に疲れた時にやったことは、東大法学部の過去のシラバスを見て後期に履修する科目を妄想することでした。これ、めっちゃ好きなんですよね。笑

 

ここで決まった僕の仮想履修計画によると、僕は後期課程に法学部の科目だけで90単位以上を取得することになるそうです(卒業に必要な最低単位数は80単位、他学部開講科目を10単位くらい含めていい)。典型的「四月病」患者ですね。笑

 

というわけで、僕はおそらくというかほぼ確実にこのまま法学部に進学します。文一→法学部は進振り強者というか、進振りの土俵の外にいる存在です。結局進振りに煩わされる存在にはならずに終わってしまうのですね。いや、幸せなことですが。笑

 

これから僕がやるべきことは、「法学部で何をするのか、何を目的として法律学習をするのか、将来何がしたいのか、なぜそう思うのか」ということをよく考えることだろうなと思います。最終的な結論が変わらなかったとしても、そこに至るまでに十分な思考を介在させたかどうかが非常に重要であるということを最近良く認識させられるので、丁寧に自分の動機と向き合い、「我はどこへ行くのか」をよく考えたいなと思います。

 

極めてまとまりのない文章になってしまいました。思考を垂れ流す日記ということでご容赦いただければ。

 

今回紹介した教養学部報は、殆どの記事が学外からもアクセスできるようになっているので読んでみて下さい。リンクを貼っておきます。

https://www.c.u-tokyo.ac.jp/info/about/booklet-gazette/bulletin/index.html

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは~