微分積分席替え気分@東大

河合塾本郷校での浪人を経て東大に合格した文一生による、のんびりとした日常のブログ。

オンライン試験と進学選択

広義の今日、東大前期教養学部からオンライン試験に関するお知らせが発表されました。それが以下のものです。

https://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/news/kyoumu/2020SS2_examguidlineforstudents.pdf

これを見ていただけると分かる通り、オンライン試験を実施するにあたってなかなかに面倒な準備が必要になるようです。これはカンニングなどの不正対策ですが、そもそもなぜここまで厳しく対策を迫られるかといえば、根底には進学選択制度があります。いわゆる進振りです。これについては以前少し書いたので、それを参照していただけると。

 

要するに、試験などの点数で自分の進学先が決まるので、点をあげようとするインセンティブが働きやすいというのが問題の一つだと思います。

 

このオンライン試験方式については東大生が様々な意見を表明し、反対意見も多くあります。しかし個人的にはある程度仕方のないことではないかと感じています。

 

やり方に問題があるのはある意味当たり前です。対面と違う環境なのだから、普段と同じものを用意しようとしても限界があります。結局どのやり方を選んだところでこのパンデミック状況が既に多くの困難を抱えているので、どのみちどこかに回避できない問題が生じるだろうということです。

 

これに対し、レポート形式に統一すべきと主張する人もいます。確かに、カンニングが本質的に意味をなさない「自分で考える=答えのない」問いをレポート的に出すことはひとつの正解になりうるでしょう。しかし、これも結局点数という客観的数値を出さないといけない現行の進学選択制度において、一定の欠陥を孕んでいます。それは、点数を出す上での評価基準が「答えのない」レポートではある程度不明確にならざるを得ないからです。また、時間を相当量かければ、皆が同じようなレポートを書いてしまうということも考えられます。

 

オフライン試験を敢行するのも、感染が万一起きたときのリスクが大きすぎる上に、こういう状況では帰省を強いることもできないため現実的ではありません。もっと早い段階で帰省させておけば、という意見は流石に後出しジャンケンです。今ある程度収まってきたという現実を知っているからこその意見で、数日単位ですら未来を予測することなどそうできることではありません。現にここ最近は感染者数がまた増えてきていますよね。

 

というわけで、優3割規定という相対評価が導入される中でさらに点数競争を繰り広げねばならない現制度下では、不正を完全に排除しつつ公平な評価基準を備えたオンライン試験なりレポートはほぼ無理だと思います。教務課は相当そういう面を考慮した上で今回の発表をしているはずなので、無理もないでしょう。

 

僕が色々な意見を見た中で1番いいなと思うのは、時間制限あり・ノートや検索などの調査活動ありで行うレポートです。調査を前提とした難易度の問題に設定すれば、限られた時間の中で最適な自分なりの問いと答えを導き出すという能力を測ることができます。難易度がやや高くなりすぎる可能性があるのと、点数の公平性の問題は結局解消しきれませんが、それは従来から同じことなのでこの際諦めることにしましょう。乱暴ですかね。笑

 

進振りに関しても思うところはいくつかありますが、それについてはまた次にします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは〜