微分積分席替え気分@東大

河合塾本郷校での浪人を経て東大に合格した文一生による、のんびりとした日常のブログ。

大学での学習は役に立たない?

 以前この記事で紹介した、声優の佐々木望さんの連載をようやく読み終わりました。8月末に連載自体は完結していたのですが、いろいろ他のことをやっている間に後回しになってしまっていましたね。

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佐々木さんが参考になる点の1つは、以前にも紹介したとおり成績優秀者として表彰を受けて卒業したことです。声優として一線で活躍する傍らで学業に励むのは、いっぱしの大学生がちょっとサークルをかじりながら大学が忙しいなどというのとは次元が違うものでしょう。そうした環境下でしっかり成績という形で成果を出している佐々木さんの姿勢と勉強法は、読んでいて純粋に尊敬できる上に、自分にも参考にできるところがあるのではないかと思わせてくれます。

 

全20回の連載で佐々木さんの向学心の高さが凄まじいことがよくわかりました。高校生からそのまま大学に進学する人が大多数の日本で社会人が大学に通うということは、一般的に言っても、単位がほしいというような卒業だけを見据えた動機ではなく、純粋に学問を楽しみに来ていたり、実務的に知識や学歴を得たいという強い動機に支えられた行動だと思います。

 

しかし、それにしても佐々木さんはかなりの真剣さと勉強量をもって一つ一つの科目に正対されている様子が伺えました。テスト勉強の様子などを振り返った記事では、自室の床が埋め尽くされるほどの参考資料や教科書類を広げて、それら一つ一つを参照しながら講義の復習を進めていったということが紹介されていました。それ以外にも、講義の出席や書き起こしの確認の上で、六法を引きながら教科書や参考書を読み、問題を解いて理解度を確認していくという王道の勉強法を確立されているようでした。さらに、最後の学期で一番力を入れたアメ政では、レポートのたびに十数冊の参考文献を借りてきて読み、構成していくという事をしていたようです。

 

こうした事を見て、まず自分がこれまでしていた授業に対する学習姿勢との乖離を痛感しました。僕も単位こそほとんどの場合で取得しているものの、ただ単位をとったにすぎず、本質的理解や周辺事項への関心はだいぶ薄いものばかりです。やはり綿密な予習復習なしには満足の行く学習はできないですよね。

 

実際、今学期からはコマ数ダイエットを決行し、なんとか法学部専門科目の予習復習時間を確保しようとしていますが、正直今確保した時間以上にやりたいことがたくさんあるというのが現状です。参考文献と言い出したら、授業中に紹介されたものを逐一追うだけでも大変です。実定法科目なら本当は教科書以外の基本書を読み比べてみたりもしたいところですし。と、そうは言いつつも隙間時間を有効に使うことなどさっぱりできていないわけですが。。。

 

さて、話は長くなりましたが、仮にここまで真剣に大学での学習に取り組んだ場合、本当にそれは社会に出てから役立たないのか、という疑問です。

 

文部科学省の定める単位取得の基準は授業時間の3倍程度の学習効果が見られること(のはず)と以前どこかでも書きましたが、仮に学生が本当にそれだけの時間を割いて集中的に学習した場合、そこには相当な努力が要求されているはずです。

 

単純にその分野についての知識量が増えるにとどまらず、教科書や資料を正確に読み解く力、複数の見解を噛み砕いて整理し、自分なりの主張を構成していく力、他者に自分の考えをレポートなり試験答案なり口頭発表なりで伝える力など、実に様々なことが身につくのではないでしょうか。大量の文献を読みこなしていくというだけでも、日本語その他の言語のの運用能力を高めることにつながるでしょうし、情報処理能力という意味でも十分でしょう。課題解決思考なんてことが言われたりしますが、大学で出される課題レポートや試験の多くはそれこそ課題解決思考が問われているものが多いはずです。問われていることを正確に把握した上で、持てる知識を総動員しているわけですからね。というとペーパーテストばかりに特化した東大生の頭でっかちさが批判されそうですが。

 

「役に立たない」と言っている人は、結局の所役に立つレベルまで真剣に取り組めなかっただけの話なんじゃなかろうか、ということを思う次第であります。

 

こんな事を書いていると、自分に刺さりまくって痛いどころではすみませんが、こういう意識を持って勉学に励みたいし、そのために大学に来たんだから、と定期的に思う次第です。

 

そもそも学問が役に立つたたないの時限で語られる必要がないというのももちろんあるかとおもいますが、国立大学ですら年50万円以上を払わないと通学できない以上、純粋な娯楽として割り切ることは僕にはできないので、なんとか自分なりに役立つレベルまで真剣になりたいものですね。

 

というわけで、まずは明日に備えて国際政治の参考文献を読み……たいところですがその前に教科書ですね。焦りすぎてもいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは~